SIer業界のエンジニア求人の今後の動向と求められる経験 2017.10.23
SIerエンジニアの募集は持ち直し傾向が見られます。ただし企業によって将来性にも違いがみられます。そこで転職する場合には、どの募集に応募すべきか慎重に検討しましょう。
ワンストップですべての工程を担当しているSIerに転職できれば、安定した雇用環境で仕事ができます。またSIerエンジニアとしていろいろな経験ができるので、エンジニアとしてのレベルアップも期待できます。
SIビジネスはもはや終わったといわれていたことがありました。しかしここにきて、再びSIerエンジニアを対象にした募集は頻繁に出てきつつあります。
再び脚光を集めつつあるSIerエンジニア
10年以上前からSIerを取り巻く環境について、構造的な問題があると指摘されていました。このため「もはや先細りする業界」といわれていました。しかしここにきて再び盛り返しつつあります。SIerエンジニアを対象にした募集もしばしば出ています。
まずリーマンショックに端を発した世界同時不況から脱却して、景気も持ち直し傾向が見られます。株価が上昇し、有効求人倍率もアップしています。また基盤刷新の動きの見られることもSIerエンジニアにとって追い風になっています。クラウド化が進み、またグローバル規模の連携が勧められていることが大きいです。
大規模システムや新規のシステムにおける需要が大きいのが特徴
さらにみずほ銀行や日本郵政のような大企業のシステム統合、新たに導入されたマイナンバー制度などもSI業界に仕事が回ってくる原動力になっていて、SIerエンジニアに対するニーズも高まっています。不要な職種と一時期言われていたのに、2015年には「2015年問題」といって、深刻なSIerエンジニア不足問題が起きるのではないかと懸念されていたほどです。
企業の特性によって将来性があるかどうか判断しよう
このようにSIerエンジニアは転職のチャンスは十分あります。そこで転職活動しようと思うのであれば、企業を選ぶことが重要です。
実は企業によって将来性のあるなしがはっきり分かれるといわれています。では将来性のあるSIerをどのように判断するか、それはゼネコン体質にあるかどうかです。
実は日本のSIerの中には、不動産や自動車業界同様、下請け以下のポジションで仕事を得ているところが少なくありません。元請け企業はプロジェクトマネジメントのスキル・下請け以下は開発力があります。しかし逆のスキルをお互い持ち合わせていないのが問題です。
このようなゼネコン体質のSIerは景気の良しあしにかなり大きな影響を受けます。
今の狙い目はワンストップで業務を請け負う新興SIer
景気がいいと積極的に人材を採用します。ところが景気が悪化すると途端に人材削減の方向に動きます。つまり今後ずっとその企業で仕事ができる保証がありません。
その中で目立ってきているのが、新興のSIerです。新興SIerを見ると、上流工程から下流工程まで、ワンストップで業務を請け負っているところが多いです。このため、エンジニアとして総合的なスキルを獲得でき多少景気が悪化しても引き続きその会社で勤務できる可能性が高いです。
将来にわたって安定した雇用環境が約束されているか、転職する際にはチェックしておきたいところです。
SIer業界のエンジニア求人の今後の動向と求められる経験
SIerエンジニアの求人件数は決して少なくありません。数は多いですが、一方でどのような人材を求めるか、今と昔とでは若干異なります。
リーマンショックを境に変わった企業の採用基準
SIerエンジニアの募集は一昔前であれば、経験はあまり重視しない募集がよく出ていました。まだ十分なスキルがなくても年齢が若ければ採用するというケースも、大手SIerでも見られました。
しかしリーマンショックから世界同時不況を経て、企業の採用基準も変わってきています。リーマンショック前は大量採用をしていたのですが、不況になると大量リストラをせざるを得なくなりました。このような失敗を繰り返すまいと、ハイスペックの人材を少数精鋭で採用するところが増えてきています。
近年のSIerは総合力重視で採用される傾向にあります
たとえば20代の若い人材でも、要件定義や基本設計などを理解している上流工程の実務経験を持っているような総合力のある人材を求める案件が増えています。つまり転職活動する際には、自分の経験をいかにアピールするかがポイントです。
どのようなスキルがあればアピールポイントになる?
将来性のあるSIerエンジニアの募集はどのようなスキル・経験を求めているのでしょうか?企業によって若干の違いがあるものの、プログラミングスキルはかなりの企業が必須スキルとしています。プログラミングスキルが高いレベルで持っている人であれば、引手あまたといっていいでしょう。
似て非なる業界からのオファーも多い
SI業界はもちろんのこと、ソーシャルゲーム業界のような少し異なる業種に転職するチャンスは十分あります。
そのほかにはコミュニケーションスキルのある人も求められる傾向があります。SIerの募集を見ると、プロジェクトマネージャーの求人も結構多いからです。
顧客やユーザー企業との折衝能力にたけた人であれば、キャリアアップのための転職も十分可能です。このようなスキルを持っている人であれば、面接試験の場でしっかりアピールしておきましょう。
将来性が期待できる大手SIerの3社を紹介
では、将来性のあるSIerとはどのような企業なのでしょうか。最近話題に上がることの多い3企業を紹介していきます。
伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
伊藤忠グループのSIer。NTTやKDDIなどの通信会社との取引が多く、売上高・経常利益も順調に伸ばしている安定感のある企業です。
ライフサイエンス分野やIT分野、設計システム開発、デジタルサービス分野など細かくジャンルが分けられています。最先端技術を使う分野からじっくりとプログラミングができる分野まであるので、自分に合ったジャンルが見つかるかもしれません。
立案から保守・運用までをワンストップでできるのが強み。自社サービスの開発を行うので、下流SIerのようにノルマに追われて残業、という自体は起こりにくいでしょう。
株式会社NTTデータ
情報サービス事業では業界最大大手のSIer。大元であるデータ通信本部は1966年に設立された超老舗。
超大手であるが故に役職に就くのは時間がかかりそうですが、安定は得られるでしょう。
大手なので転職の募集職種も豊富です。2017年10月時点では以下のような職種での募集があります。
- ITコンサルタント
- PM
- ITアーキテクト
- ITスペシャリスト
- アプリケーション・スペシャリスト
ITスペシャリストなどのハイキャリア向けの職種もありますが、もともとSEとして働いていた人がキャリアアップで選ぶことも多いようです。
ただし、このような職種チェンジの場合はしっかりと自分の市場価値を図ってから行うようにしましょう。
デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社
業務系や組み込み系、ネットワーク系のソフトウェアを開発しているSIerです。元請けのソフトウェア開発もあれば、自社プロダクトもある手広い独立系システムインテグレーター。
社員数も多く大手企業なのですが、若手プログラマーも多いというバランスの良い会社です。
光が刺したSIer業界だが未だに闇も深い
IT化の波によって仕事が増え、光がさしたように見えるSIer。働き方も変わり、大企業や自社開発を行う企業はホワイトになりつつある…とは言え、未だにいわゆるブラックと言われるSIerも多いのが現状です。
中小SIerは要注意
いわゆるブラックと言われるSI企業は殆ど中小企業です。「中小企業の管理体制は悪質」という訳ではなく、SIerという体制上しかたのないことなのです。
大企業であっても人手が足りていない状態のIT業界。中小企業に凄腕のSEが集まるはずもなく、人手が無いから仕方なく経験が浅い若手エンジニアを雇う。(テストコードが書けないというエンジニアも少なくない)
結果、仕事は回らず、かと言って納期があるから絶対に仕上げなくてはいけない。そして残業をしてしまうというわけです。
企業が悪いのではなく、仕方なくなってしまう形なので、中小SIerから中小SIerへ転職したところであまり環境は変わらないかもしれません。
「スキルがない、でも今の環境から脱却したい」というのなら、異なる業種のエンジニアになることをオススメします。
キャリアパスの幅も広がってきている
一昔前ですと、SIerに入社したらそのまま年功序列で役職に就き…というのが一般的なキャリアパスでした。しかし、近年のエンジニア不足により、エンジニアの需要が上昇。
SIerから異なるジャンルのエンジニア職へと転職が簡単になってきたのです。
どうしてもSIerという体系に不安を感じるのでしたら、違う職種に転職するのもひとつの手です。
最近人気なのがWEB系
スタートアップ企業やベンチャー企業が増え、転職しやすくなったということもあり人気なのがWEB系エンジニアへのキャリアパス。
スタートアップやベンチャーは実力主義の企業が多く、「マネジメント経験は問わない。開発さえできればOK」というパターンも少なくありません。
WEB系企業の特徴は、自社サービスを開発しているケースが多いということ。仕様書通りにプログラミングする仕事とは違い、ヒアリングや改善を繰り返してより良いサービスを作り上げるのが仕事です。
プログラミングばかりでなく幅広く業務に関わることができます。これを楽しめる人なら、WEB系へのキャリアパスは非常におすすめです。
残業への不満から社内SEへ転向する人も
SIerといえば、残業がキツイ職種と言われています。1時間2時間の残業が当たり前、下流SEなら徹夜をして納期に間に合わせるなんてケースもあるでしょう。
しかし、その環境は普通ではないということに気づかなければいけません。今後、キャリアアップをする上で残業のない環境が良い、家での時間を大切にしたいと考えているのなら社内SEなど残業の少ない職種へ転職するのが良いでしょう。
まとめ
公開求人数 | 9,104件 | 対応地域 | 日本全国、海外 |
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非公開求人 | 33,633 | 職種 | アプリケーションエンジニア(2017年6月6日現在4,998件) |
強い業界 | IT・通信 | 設立 | 1977年11月 |
SIerエンジニアの募集は上で紹介したように、持ち直し傾向が見られます。ただし企業によって将来性にも違いがみられます。そこで転職する場合には、どの募集に応募すべきか慎重に検討しましょう。
ワンストップですべての工程を担当しているSIerに転職できれば、安定した雇用環境で仕事ができます。またSIerエンジニアとしていろいろな経験ができるので、エンジニアとしてのレベルアップも期待できます。
ワンストップですべての工程を担当しているSIerに転職するためにも「リクルートエージェント」を活用するのも一つの手です。
リクルートエージェントは転職求人案件が常時6,000件あり、大手ならではの大型求人が期待できるエージェントになっています。
そのためとてもオススメする転職エージェントです。